『スレイヤーズ1 リナとキメラの魔法戦士』
(神坂一・原作 南房秀久・著 日向悠二・絵 角川つばさ文庫)
のレビューです。
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→スレイヤーズ1
ライトノベルの名作「スレイヤーズ」の児童文学版です。
「スレイヤーズ」ですよ! 懐かしいなぁ。
率直な感想は、すごく面白かったです。
「スレイヤーズ」を知らない人も、そして知っている人も思う存分に楽しめる作品になっています。
大人も子供もおもいっきり楽しめます。
原作の「スレイヤーズ」シリーズはアニメや漫画、ゲームにもなっており、典型的なメディアミックス作品です。原作を読んだことがなくても、他のメディアでこの作品にふれている方も多いのではないでしょうか。
原作シリーズの第一巻にあたる「スレイヤーズ!」は、第一回ファンタジア長編小説大賞に入選し、1990年に富士見ファンタジア文庫より刊行されました。
ライトノベル(当時はまだジュニア小説という言われ方をしていました)の創世とともに世に送り出された作品です。
角川スニーカー文庫から刊行された『ロードス島戦記』と「スレイヤーズ」の成功がなかったら、今のライトノベルの繁栄はなかったんじゃないかなぁ。
「スレイヤーズ」はライトノベルにとって深い意義を持っている作品だと思います。
児童書版「スレイヤーズ」の第一弾にあたる本作は、原作の第一巻『スレイヤーズ!』と基本的にプロット(物語の構想)を同じくしています。
ですが、同じなのは大まかな話の道筋だけで、中身はかなりオリジナルになっています。
原作では、主人公リナ=インバースは15歳でしたが、本作では12歳になっています。
表紙の絵を見たときに、
「なんかリナがSD化(デフォルメして頭身が縮むこと)してるな……」
と思ったのですが、59ページ目でリナの年齢設定が明らかになり、ようやく納得しました。
児童文学ですからね。
主人公を読者層の年齢に近づける配慮は必要でしょう。
原作の『スレイヤーズ!』では、まだ登場しなかった白蛇(サーペント)のナーガやシルフィールが、リナたちのパーティに加わります。
そして最大のオリジナティは、赤法師レゾがすっとぼけたオッサンになっていることです!
これ、元ネタを知っている人にとっては爆笑ものですよ!
原作と同じように、本編はリナの一人称一視点(地の文がリナの立場による「あたし」の視点)で書かれています。
「小学中級から」向けですので、漢字にはすべてルビが振ってあります。
軽快で、とても楽しく読める文章です。
原作と同様に、「ボケとツッコミ」型のギャグが満載です。
日本人にはこの笑いがよく合うんだろうなぁ。
本当に笑えます。
初めて「スレイヤーズ」にふれる方には、「スレイヤーズ」の魅力が充分に伝わると思います。
そしてすでに「スレイヤーズ」を知っている人にとっては、元ネタをうまくアレンジして話をつくっているので、「あぁ、あの設定をこんなふうに変えたのか」といった感じで思わずムフフとなってしまいます。
リメイク作品として見ても、かなりの良作といえます。
「スレイヤーズ」はすでに大成功を収めている作品なだけに、執筆にはプレッシャーがあったと思います。
神坂一(かんざか・はじめ)先生の文章と、あらいずみるい先生のイラストで、イメージが完全に出来上がっていますからね。
ですが、この児童書版を手がけた南房秀久(なんぼう・ひでひさ)先生と、イラストを担当した日向悠二(ひむかい・ゆうじ)先生は、原作のイメージを損なうことなく、それでいて新しい「スレイヤーズ」をつくり出すことに成功していると思います。
「スレイヤーズ」を知らない人も、すでに知っている人も、そして大人も子供も、思う存分楽しめる作品だと思います。
この作品を、このような方々にオススメいたします。
○とにかく楽しいユーモア・ファンタジーが読みたい
○笑える児童文学が読みたい
○原作のスレイヤーズを知っている
○親子で笑って楽しめる作品を探している
「スレイヤーズ」を児童文学にしようと企画された方は、本当に目の付けどころがいいと思います。
「スレイヤーズ」という作品はスタンダードな異世界ファンタジーの設定をベースにしているのですが、ギャグが満載されているので、とても読みやすい作品です。異世界ファンタジーの入門書には最適だと言えます。
今の子供たちにも「スレイヤーズ」を知ってもらいたいよなぁ。
ほんと、理屈抜きで面白いんだから。
というわけで、『スレイヤーズ1 リナとキメラの魔法戦士』でした。
それでは、また。

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